子どもが、自分で考えて行動できるようになってほしい。
先生もお家の方も、きっと同じように願っていますよね。
でも、毎日の教室では、待っても動けない子、友達と考えが違うと不安になる子、自分のペースを崩すと離脱してしまう子など、いろいろな子どもたちと出会います。

一人一人を大切にしたい。でも、学級のみんなで一緒に学ぶことも大切。いったい、どうしたらいいんだろう…

わかる!私も、今でも悩みます(^_^;) 教育には「これをすれば絶対大丈夫!」という答えがないですもんね。
私は小学校で30年以上、学級担任を続けてきました。そのなかで少しずつ見えてきたのは、一人一人を大切にすることと、みんなで学ぶことは、対極ではないということです。

この記事では、「自分で考えて行動できる子」を育てるために、私が学級づくりや算数の授業で大切にしてきたことをご紹介します。個別最適な学び・協働的な学び・メタ認知などの教育用語も、教室で見える子どもの姿とつなげて考えていきます。(^O^)/
教育の目的は「人の中で生きていける子」を育てること
教育の目的は何ですか、と聞かれたら、今の私は「人の中で、自分らしく生きていける子に育てること」と答えます。
今の教育は、工場の流れ作業を滞りなく進められる人を育てるためのものではありません。
一人一人が違う考えや得意なことをもち、その違いを生かしながら、人と一緒に暮らし、成長し、助け合って生きていくためのものだと思います。
ぶっちゃけて言うと、一人のほうがラクだからとか言って、人間関係を諦めないことこそが、とても大事だと思っています。
一人で考える時間が好きな子もいますし、みんなと違う意見をもつことも立派なことです。それは、「一人ぼっち」ではないし、孤独でもありません。
自分の考えをもっていることと、孤独であることは違います。
でも、「個の時代」が進むにつれて、何かを勘違いしたまま勝手に孤独になろうとする子が増えている気がしています…ずっと小学校の現場で子どもたちを見てきて思うことです。
集団のなかにいても孤独を感じてるがどんどん増えてきて、それを個性だから仕方ないと割り切ったように見せているけど、心のなかにはいろんな感情が渦まいていて、いつか爆発してしまうのでは…と心配になるような危うい雰囲気を感じたり💦
どうにかしなくちゃと思うけど、表面化しない感情をどう扱ったらいいのか難しかったり💦
教室でたくさんの子どもたちを指導しなくちゃ💦と思いながら、見えないモヤモヤに焦点を当てて、長い目で子どもを育てる余裕なんてなかなかもてるものではありません。私もそうです。
でも、
一人でいることと一人ぼっちの違い
自立と孤独の違い
うーん…ここに手を入れずに小学校生活をなんとなく過ごさせてよいものか…
やっぱり、子ども自身にしっかり考えさせたい!考えて行動させたい!
かといって、講義的に正論や方法を伝えても子どもには通用しないです。

というわけで、私たちができること!それは目的をもった学級経営と授業改善です!結局ここです。私たちのホームグラウンドですね✨️
自分という「個」を大切にできる子は、友達の「個」も大切にできるようになります。違いがあるまま一緒にいられる。そんな学級をつくりたいなって私はいつも思っています。
自立した考えをもつことは、孤独になることではない
自立というと、「一人で何でもできること」と捉えられがちです。でも、分からないときに人に聞くこと、助けてほしいと伝えること、友達の考えを借りてもう一度考えることも、自立の一部です。
大切なのは、先生の指示を待つだけではなく、自分はいま何が分かっていて、何に困っていて、次にどうしたいのかを少しずつ考えられるようになること。
- 自分で選ぶ
- 自分で決める
- 分からないと伝える
- 友達の考えを聴く
- 考えが変わったことに気づく
- 必要なときには人を頼る
こうした小さな経験の積み重ねが、「自分で考えて行動する力」につながっていくと思います。
個別最適な学びと協働的な学びが同居した算数授業
以前、6年生の算数で公開授業をしたときのことです。参観した先生から、
「協働的な学びと個別最適な学びが同居している授業でした」
という感想をいただきました。とても嬉しかった言葉です。
その授業には、こだわりが強く、個別に声をかけないと学習から離れてしまう子がいました。みんなと同じペースで進むことが苦しくなったり、思うようにできないことで自暴自棄になったりすることもある子です。
そこで私は、その子のそばに付きました。でも、私が一人の子に付いたままでは、学級全体の話合いが止まってしまいます。
そこで活躍したのが、これまで育ててきた子どものファシリテーター(話合いの進行役)でした。
ファシリテーターの子が全体の前に立ち、友達の意見や考えを引き出します。私は進行を補助しながら、必要な子のそばにつくことにしました。

先生がずっと教室の前に立っていなくても、子どもたちがつながって学べる。だから私は、必要な子のそばにいられました。
これは、一人の子だけを特別扱いしたのではありません。その子が学びに参加できるように支えながら、ほかの子どもたちにも活躍してもらった形です。
「一人一人を大切にすると、かえって、みんなで学べる」

私じゃなくてもガイドできる部分ってたくさんあるんです。本当に子どもたちってすごいですね!
文部科学省が示す「個別最適な学びと協働的な学び」も、どちらか一方を選ぶのではなく、行き来しながら充実させていくものとして示されているんですよね。時々、ちらっと読んでみると自分の実践と照らし合わせて考えやすいですね。(↑クリックしてみて)
ファシリテーターは、答えを知っている子ではなく「振り役」

私の学級では、ファシリテーターは「正解を知っている子」や「話すのが上手な子」だけがするものではありません。
ファシリテーターは、友達に話を振る役です。聞き方は、めちゃくちゃ簡単です!
「どう?」
これだけです。
「あなたはどう?」「ほかの人はどう?」と振るだけなら、答えが分からなくてもできますよね。子どもたちには、何を言ってもいいし、分からなくても堂々と前に出てきていいと伝えています。
そうすると、黒板の前に出て話したい子が増えました。やりたくて、手をブンブン振ってアピールする子も出てきました。
「答えが分かってからじゃないと話してはいけない」という空気がなくなると、子どもは自然に話したくなるみたいです。

黙って座っているだけじゃ、つまらないですもんね!
「分からない」は、立派な自己表現
私は「分からない」と言えた子をホメます。自分が分かっていないことが分かっているからです。これって、メタ認知(自分の学びの状態を自分で分かること)ですよね。

「分からない」って言えたんだね。立派! 自分のことがちゃんと分かっているんだね。
そして、そこで話を止めずに、次の人へパスを出す言葉も教えます。
「僕は分からないんだけど、〇〇さんはどう?」って振っちゃえ!
自分の状態を伝え、誰かにつなぐ。これができれば、「分からない子」も話合いから外れません。むしろ、対話を動かす大事な一人になります。
話す人より、聴く人が主役

私は、話合いや対話では、聴く人が主役だと思っています。スピーチも同じです。聴く人がいなかったら、話しても独り言になってしまいます。
だから、聴くときには「自分が積極的に聴かなくちゃ!」って思ってほしいです。
高学年になると、友達の考えをメモしながら聴くこともありますし、いつでも話し手の顔を見続ける必要はありません。
でも、うなずいたり、「あー」「おー」「なるほど」と小さく反応したりすることはできます。

小さな反応でも、話している子を一人ぼっちにしない、大切な聴き方です!
こんなことを日々伝えながら話す聴く活動を続けてきたら、子どもたちからは、「話すことが楽しくなった」「手を挙げるようになった」「前に出たくなった」という言葉をたくさんもらいました。
しかも、「前の自分は話せなかったけれど、今は話せるようになった」と、過去の自分と比べて話してくれることがあります。これも、自分の変化に気づくメタ認知ですよね。
本当に子どもって柔軟で変わることを恐れないです。大人もマネしなきゃいけませんね!
普段の言葉と教育用語をつなぐ
教育用語って、研修や本で読んで、字面では分かっていても、「教室でのどれのこと?」って思うことありませんか?
私は分かりやすい言葉が好きなので、私が普段使っている平たい言葉と、教育用語を照応させてみました。次のような感じです\(^o^)/
| 教室で大切にしていること | 教育用語で表すと | 子どもの姿 |
|---|---|---|
| 一人一人に合わせて、支え方や進み方を変える | 個別最適な学び | 自分に合う方法や助けを使って学ぶ |
| 友達の考えを聴き、一緒に分かっていく | 協働的な学び | 考えを比べたり、つないだりする |
| 分かる・分からない、考えが変わったことに気づく | メタ認知 | 自分の学びを自分の言葉で振り返る |
| 自分で選び、決め、必要ならやり直す | 自己調整学習 | 次にどうするかを考えて動く |
| 「どう?」と友達に話を振る | ファシリテーション | 答えが分からなくても話合いに参加する |
| うなずきや一言で、話し手を一人にしない | 傾聴・対話的な学び | 相手を尊重しながら聴く |
用語を覚えることが先ではありませんが、教室で子どもにどんな姿が見られたらよいのかが分かると、難しい言葉も実践とつながるかなと思って整理してみました!
自分で考えて動く力は、毎日の生活でも育つ

自分で考えて動く力は、授業の中だけで育つものではありません。自分の時間の使い方を見つめ、予定を立て、振り返ることも大切な学びです。
そこで取り組んできたのが「生活タイムカード」です。子どもが自分の生活を見える化し、「叱られたから直す」のではなく、「自分で気づいて調整する」ための道具です。
小学生の時間管理を「自分を知る学び」に
生活タイムカードを始めた理由や実例、子どもが自分の時間に目を向ける意味をまとめています。保護者任せにせず、「大人」の一人である先生からも働きかけたいと思って書いた記事です。
先生が教室で導入するときの進め方
学級での導入方法や声かけ、すぐに使える資料については、こちらの記事にまとめています。
大人も完璧でなくていい
ここまで読むと、「毎日そんなに丁寧にできないよ」と思うかもしれません。大丈夫です。私だって、いつも上手にできるわけではありません。
一人一人を大切にしたいと思っていても、余裕がなくなる日もあります。子どもの話を十分に聴けなかったと反省する日もあります。

完璧じゃなくていいんです。昨日より一つ、子どもに任せられた。今日は一人の「分からない」を拾えた。それだけでも前に進んでいます。
子育ても教育も、計画どおりにいかない大冒険。うまくいかない日があるから、次の作戦を考えられるのだと思います。
おわりに|子供育ては未来育て
自分で考えて行動できる子を育てることは、何でも一人でできる子を育てることではありません。
自分の考えをもち、分からないと伝え、人の考えを聴き、必要なときには助けを借りる。そして、違いがある人とも一緒に生きていく。
そんな力を、毎日の小さなやり取りのなかで育てていきたいと思っています。
一人一人を大切にするから、みんなで学べる。
違いがあるまま、一緒にいられる。

教育は、すぐに答えが出るものではありません。でも、今日の教室で交わした一つの「どう?」や、一つのうなずきが、子どもの未来につながっていきます。
子供育ては、未来育て。
そういう私も、まだまだ悩みながらです。一緒に考え、一緒に育てていきましょう(^o^)
最後までお読みいただきありがとうございました!
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