自由度の高い宿題が出た日、家庭ではちょっとした困った事態になると、以前担任していた子のお家の方から聞いたことがあります。
「ノート1ページ」っていう宿題が出たんだけど、何を書いたらいいのかなあ。
内容がフリーな宿題(家庭学習)が出されると、子供が何を書いたらいいのか分からないみたいです。何を書くか決めるまで時間がかかり、進まなくて困ってます💦
そんなママさんの声を聞いたことがあります。制約がないほど決めるのが難しいかもしれません。でも、「習ったことを使ってやってみよう!」と思うこと自体が、自分勉強の出発点なので、最初は慣れなくても、自分のための勉強は、自分で決められるようになってほしいところです。
とはいえ、いきなりは見つからないですよね。そんな時は、いい方法があります!
誰かのマネをすればいいんです!_φ( ̄ー ̄ )
そんなことを言う私は、現役の小学校教諭です。
31年間で1〜6年生までの全学年を複数回担任しています。ずっと通常学級担任で430人以上のお子さんを担任してきました。
生徒指導主任・学年主任なども担当してきたので、いろんなご家庭のいろんなお悩みにも関わらせていただいた経験があります。
この記事では、私が担任したお子さんのノートを実例としてご紹介します!なぜ「力がつくノート」なのか理由も合わせてお伝えしますので、ぜひ真似をしてみてほしいと思います。
漢 字
① めあてを書く
漢字の練習というと、漢字専用の練習ノートにビッシリ書くことを目的にしたノートを想像する方もいると思います。なぜなら、10年前まではそういう指導もまだまだ存在していたからです。ゆとり世代前の30〜40歳代のワーママさんなら「それがいいノート」だった時代を経験していると思います。
でも、思い出してみて下さい。その漢字練習、楽しかったですか?
ただひたすらにページを埋めるだけの「手の運動」になっていなかったでしょうか。
ノルマをこなすという受け身な気持ちで練習したとしても、「ちゃんと課題をやり遂げた」という事実は残りますが、「次は、なんの漢字を書こうかなあ(*^^*)」というワクワク感は生まれないと思います。
①のように「好きな漢字を書いてみよう」とめあてを自分で決めて取り掛かることで、
なんの漢字を書こうかなあ。そうだ!ポイントも書こうかな。テストにはどの漢字がでるのかな。
こんなふうに、想像力を働かせて、あれこれ書いてみる行動が起こります。これがめちゃくちゃ大事なのです。
② 1文字に9マス使って大きく書く
反服練習ではないので、とにかく大きく書くことで、字のパーツをはっきり認識していきます。
手が動き始めたら(思考が始まったら)次へ次へと進んでいくことが楽しくなります。だから、枠がフリーハンドでぐんにゃりしていても、
見にくいでしょ。ちゃんと定規で線を引きなさい!
ほら、「声」の字が間違ってるわよ。
と、注意しないでほしいなあと思います。「間違って練習したらテストで間違える」という体験をさせることで、正しく学習する・練習することの大切さが身に染みます。
自分の行動で結果が変わる体験を子供のうちにさせることが、よい慎重さをもった大人に成長するための土台になるんですね!
だから、ノートを訂正するのは「自分」です。1回テストで悔しい思いをした後に、正しい漢字を目立つようにでっかく書きながら、悔しかった気持ちも一緒に書き込んでおくとなおさらいいです。人の記憶は、その時のエピソードを含んだ「感情記憶」の方が定着が高いことが分かっているからです。
③ ポイントを書いたり 知っている字と比較したり
「汽」の字の右横に
「気」にしない と書いてあります。
「中」の口部分を囲んで、
くちをつぶす と書いてあります。
他にも「止め・はね・はらい」だけじゃなく、自分がこれまでに学んだ知識をかき集めて、自分の言葉で書いています。この時、脳はフル回転しています。多少間違っても、変な表現でも、自分の中から出てきた言葉はとても強く記憶に残り、漢字の学力につながります。
④ やってみて、思ったことを書く
振り返りとして「テストに出る時頑張ろう」と書いています。やったからには、テストでちゃんと書きたい!という気持ちが伝わってきますよね。宿題としてこのページを埋めるだけの勉強だったら、こういう気持ちは生まれません。
自分で考えて書いたからこそ、受け身ではないからこそ、「楽しかったよ」という感想と共に、今やったことがテストという未来にもつながっていると想像できたのだと思います。
⑤ 余白を使う・残す
「気をつける」と書くところが、「きおつける」と書いてますが、「くっつきのを」の間違いは低学年ではよくあることです。だから、その都度教えたり、気づかせたりしていけばOKです。
ここで着目したいのは、多分この一行は、余ったのだろうということです。マスの使い方で余ったところに、深い意味はなく一言書いた、という感じだと思います。
_φ( ̄ー ̄ )
でも、そこには好きな漢字を書いていたはずが、いつの間にか「気をつけなきゃいけない漢字」をピックアップしていたことが分かります。余白は後で書き込みするのにも使えるので、無理して埋める必要はないのですが、それも自分で考えてのことですから、もちろんOKですよね!( ✌︎’ω’)✌︎
算 数
下のノートは2年生の自分勉強(家庭学習)ノートです。
2年生では2桁、3桁の計算や「100のまとまりが10こで1000になる」ことも学習しているので、内容を見て「1年生?」と感じた方もいるかもしれません。でも、ここがポイントです!
学習はスパイラル(螺旋状)で進むことで定着します。もう知っていることを、いかに生活に反映させるか、そういう発想がもてるかが、「新しい学力」なんですよ。
机の上だけじゃなく、いろんな場面のいろんなことに使える人になるようにする、長い目で見た学習の目標はそこです!
それではどんなところが👌グッドポイントか解説します。
① 自分に問題を出している
ノートの書き始めに「4この数字を全部たして10になるものはどれですか?」と自分に対してはっきりと問題を出しています。
学校の学習では「課題」として設定することが多いですが、これからやることを自分に言い聞かせる効果は大きいです!
毎回やれるように習慣化したいですね。(^ ^)
② 共通点を書く
車の絵を書いていて、たまたま同じ数字だったことに計算してから気づいたのか、または市販のドリルを使って学習したのか、どちらかは分かりません。
でも、気づいたことを近くに書いておくことは思考力をアップさせるのに有効です!習慣になると、テストの余白にも思ったことを書き込んだりします。こうなると、テストの点数や自学自習の仕方にはっきりした上昇変化が出てきます。
国語のワークテストです(^ ^)
漢字が思い出せなかった自分に、
「べんきょうぶそく」と戒めの呟きが書いてありました。
答えられない理由は、「勉強不足」
それが、自分の中での結論なんだと思います。
可愛くて思わず笑ってしまいました。
╰(*´︶`*)╯♡
この子は、このあと覚えきれていない漢字を自分でピックアップしてノートに練習していました。
こういう「自己調整力」が本当の学力です!
担任としてとても嬉しかったです。
間違いはまさにお宝ですね。
③ 矢印→でつなぐ
矢印は単純な形で関係性を確認できる便利な記号ですね(^ ^)。
低学年では実は「矢印」自体を書くのが難しいので、しりとりなどを→で繋いで、書く練習をするといいと思います。そして、自由に書けるようになると、思考の流れや相互関係をパッと見て分かる便利ツールとして使えるようになっていきます。
③のように、車のナンバーを4つの数字の組み合わせとして見ると、足して10になる数を探しているうちに、10になる数の組み合わせはいくつもあることに気づいたりといろんな学びがあるわけです。
ちなみに、4+7+6+3などの式で、パッと見て10になるところを先に見つけて計算したり、先に計算する部分を( )でくくったりすることは2年生の算数で勉強します。
④ 工夫したことや気づいたことを褒める
「こんなことに気づいてすごいね!」「知らなかったよ!」など、ほめ言葉のさしすせそを使って簡単にかつ本気で褒めましょう。…というか、ホントに子供たちってすごいんですよね。素直に感動しちゃいましょう。
⭐️ホメホメ言葉のさ・し・す・せ・そ⭐️
- さ:さすが!
- し:知らなかったよ!・しびれる〜
- す:すごい!・ステキ!
- せ:センスあるね〜
- そ:そうなんだあ!・そんなことが!
他にも色々あると思いますが、やっぱり言われたら嬉しいですよね。ほめられることは認められることです。ポジティブな学習のモチベーションをつくることは、大人ができる協力の1つですね。
( ´∀`)
理 科
最後に8mm方眼罫を使った6年生のノートをご紹介します。
① 課題を疑問の形で書いている
黄色のペンと⭐️マークで、自分に投げかける形で学習を進めています。自分で自分に問いかけること。これがまさに自分勉強だと思います。
高学年になると、薄くて小さい文字で書いたり、見た目のきれいさに重点をおいてしまったり…ということも出てきます。慣れているからこそ、書く目的を確認したいところです。
「書くのは覚えるためだから、美しい印刷物をイメージしない。きれいに書くのは、あとで見直すことができるようにするためだったね。」と、何度でも声をかけて刷り込むことで、中高での学習にもつながりますよね。
② 色付きの図を書く
リトマス紙の例のように、色が必要な学習内容の時には、自分で簡単に図を書くことが記憶の定着に直結します。プリントやテストの図を切り取って貼った方が有効な場合もあれば、自分で書いたほうがいい場合もあります。どちらにしても、それを判断できるようになること自体がとてもいい勉強になります。
図に時間がかかって疲れてしまったり、図がなくても理解できる内容だったり…💦と、図を書くこと自体が目的になってないか、自分が何をしたいのか、優先順位をつけて取り組めるようになるためには、やっぱりたくさん書くしかありませんよね。低学年のうちから積み上げていくことが、その子の見えない学力となって、これからの学びを支えていくことになります。
③ キャラクターに言わせる
好きなキャラクターでもいいですし、自分で考えたキャラクターでもOKです。第三者に言わせることで、何が大事なのかはっきりします。子供の中には、性格の違う複数のキャラを設定して教え合うようなノート作りをする子もいました。趣味や遊びを使いながら楽しく勉強できたら、長続きしますよね。また、アンパンマンがこんなこと言うわけないという意外さが楽しくて記憶にも残ります。
ぼくはピカチュウにしようかな。
なんでもいいよ〜!でも、10秒くらいで書けるものにしようね!
ま と め
2020年の教育改革では、
「身につけた知識を使える人に育てること」や
「国際化やAIなどが当たり前になっても対応できる人に育てること」が、
大人のやることとして、はっきりしました。
学校だけでも、家庭だけでも、足りないです。
大人も経験してきていない新しい時代の勉強です。何にしろ、大事なのは楽しみながらやり続けることかなと思います。何をノートに書いたらいいか分からない時は、まずはマネから!ネタを探すなら日常から!
「学習と生活を切り離さない」こと。まずはこのことを頭に置いて家庭学習を支えていきたいですね!
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